石川敦士が、スノーモービルで日本の未開の地を開拓した「BOONDOCKING PROJECT」の撮影を振り返る。<前編>

2019年12月13日


2003年に海外の名門フィルムプロダクションが手がける作品でトリを飾るなど、日本人の実力を海外に知らしめてきたスノーボード界のパイオニア布施 忠。
そんな彼とフィルマーの越後太郎氏からなるLSP(LIFESTYLE PROJECT)が、スノーモービルで日本の未開の地を開拓しながら2年に渡って撮影を繰り返し、この秋にリリースした映像作品が「BOONDOCKING」。
このムービーには、QUIKSILVERのジャパンライダーである石川敦士が参加しています。はたして新たな斜面を開拓するプロセスにはどんな背景があったのでしょうか?この記事では彼に撮影現場でのサブストーリーや、スノーボードムービーに対する想いを語ってもらいました。

 

 

■今までと違うフィールドでスノーボードを経験したい

 

-BOONDOCKINGの撮影はどんな流れで始まったのですか?

 

3年前から忠(布施)が、すでに日本のフィールドをスノーモービルで開拓していて、自分も一度連れて行ってもらったんです。
それがかなり刺激的で、今までと違うフィールドでスノーボードを経験したいっていう気持ちが強く芽生えて、自分でもモービルを買ったんです。
その翌年から彼らの撮影に参加させてもらいました。

 

 

■モービルを扱うのにかなり苦戦

 

-撮影はいつ頃から始まり、どんなフィールドへ行ったんですか?

 

撮影は2シーズン前からスタートしました。初年度の撮影では、東北の福島や秋田、岩手、山形。それに長野、新潟、北海道にも行きました。
それぞれ山の個性も違うんですけど、その中でも印象深いエリアはやっぱり一番最初に行った鳥海山ですかね。他のクルーはモービルで尾根を2つくらい越えて行くんですけど、自分だけモービルを扱うのにかなり苦戦して撮影スポットにたどり着けないみたいな。
ハンドルで曲がろうとしても簡単には曲がれなかったり、運転する感覚がすごく難しくて…。3年経った今でも慣れないくらいなんですけど、それくらいみんなすごい場所に行ってましたから。
僕にとってはスノーボード以前の話で、何よりもモービルのスキルがない。完全にわからされた感じです。
その翌シーズンは忠たちと別の動きをしていたんですが、忠がいないと自分の力で行ける場所も限られてしまって、モービルで撮影スポットを探すスキルが全然違うんだなとあらためて感じましたね。

 

 

-新たなエリアの開拓。実際の現場で何か刺激を受けたことはありましたか?

 

忠は何をするにも早いんです。準備もそうだし撮影する場所を見つけたらサクッとやる感じで。ライディングも、「ここ狙うんだ!?」っていう場面も結構あって。
地形の起伏があれば、それをランディング(着地)にしたり、木に雪が溜まったマッシュをうまく使ったり。
それを見て「なるほど!」みたいな。自分なりに勉強になりましたね。

 

 

■誰も行っていない未開の地を自分たちで開拓していく

 

-このムービーの撮影を経て自分の中で何か変化したことはありますか?

 

やっぱりスノーモービルで深いフィールドまで行けるというのは今までの撮影と全然違いましたよね。
ハイクアップで登ってたら1日かかってしまう場所も、モービルならすぐに行けるので機動力が全く別物です。
僕は日本の山しか知らないですけど、本州と北海道でも見える斜面や地形も違いますから。このムービーのテーマでもある「誰も行っていない未開の地を自分たちで開拓していく」。
まさに探検とか開拓ですよね。撮影現場では、通常の撮影よりもモービルの積み下ろしの準備に時間もかかるので朝が早かったり、そこから撮影するスポットまで何十キロと移動して、山に入ってコンディションが悪ければ何もできない日もある。
大変でしたけど、その分自分たちで新たな斜面を開拓して撮影できたときは達成感がありましたよね。2シーズンの撮影を通して新たな価値観じゃないですけど、そのあたりを色々と経験できたことはすごくいい機会になりました。

 

 

 

-まだまだ未開拓のフィールドは日本にはありますか?

日本にはまだまだあります。とくに東北エリアにはポテンシャルがあると思います。福島から北は青森まであるじゃないですか。それだけでも広大なエリアですし、モービルを使えばまだ誰も踏み入れていない場所もあるのかなと。
東北は秘めてる部分がまだまだあると思いますね。

 

 

インタビューの続きは、12月20日公開予定の<後編>でお届けします。
次回は、スノーボードムービーに対する石川敦士の想いにフォーカスしていますので、お楽しみに。

 

(プロフィール)

石川敦士 Atsushi Ishikawa

1977年生まれ。埼玉県出身。数々の怪我を乗り越え、常に進化し続けてきた日本が誇るスノーボーダー。
数々のビッグコンテストでの活躍や、一世を風靡したムービープロダクションSCLOVERなど、常にフリースタイルシーンを牽引してきた実績を持つ。
近年はスノーモービルを使って日本のフィールドを開拓する傍ら、新潟・神立、岩手・夏油、今シーズンより新潟・アライでもパークプロデュースの指揮を執る。
また今年の11月下旬に中国代表チームのヘッドコーチに抜擢。

 

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