石川敦士が、スノーモービルで日本の未開の地を開拓した「BOONDOCKING PROJECT」の撮影を振り返る。<後編>

2019年12月19日


2003年に海外の名門フィルムプロダクションが手がける作品でトリを飾るなど、日本人の実力を海外に知らしめてきたスノーボード界のパイオニア、布施 忠。
そんな彼とフィルマーの越後太郎氏からなるLSP(LIFESTYLE PROJECT)が、
スノーモービルで日本の未開の地を開拓しながら2年に渡って撮影を繰り返し、この秋にリリースした映像作品が「BOONDOCKING」。
 このムービーには、QUIKSILVERのジャパンライダーである石川敦士が参加しています。はたして新たな斜面を開拓するプロセスにはどんな背景があったのでしょうか?
この記事の<前編>では彼に撮影現場でのサブストーリーを中心に伺ってきました。
<後編>は、スノーボードムービーに対する想いや今後の活動について語ってもらいました。

 

 

■バックカントリーの撮影では地形を見る目や判断力が必要

 

-以前はスロープスタイルなどのフリースタイルコンテストで活躍され、今はスノーパークのプロデュースもされていますが。今回のムービーのような自然地形を滑るスノーボーディングとスノーパークとでは何か違いはありますか?

 

スポットの見方はパークと同じ感覚です。「そこにあるものでどう遊ぶか?」というイメージといいますか、そのセクションでどうジャンプをするかということを常に意識し、それがパークから山になったという感覚ですかね。
ただしバックカントリーでは、滑り出してみないとその地形がどうなっているか分からない場面が多くて、地形のサイズ感も下からと上から見るのとでは全然違います。
雪質も見極めないといけないですから地形を見る目や判断力が必要です。
映像や写真ではうまく伝わらないこともありますけど、実際の撮影現場では「マジかっ!」ってなるくらいジャンプ地形のスケールが大きい場面もよくありました。

 

 

 

-コンテストと撮影の違いにはどんな部分がありますか?また自分にとってムービーの存在ってどんなものですか?

 

コンテストに出ていた頃ももちろん自分の滑りと向き合っていましたけど、撮影はライフワークというか、もっとピュアな気持ちでスノーボーディングができる感覚です。
だから取り組み方が全く違いましたね。しっかりとプランをたてながらやっていたのがコンテストで、撮影は行き当たりばったりといいますか、何が起こるか分からない部分もある。
でもそれが撮影の醍醐味でもあるんです。自分にとってムービーは表現の場です。コンテストの活動以外でいえば、ライダーとして一番重要なことだと思うんです。

 

-今後も撮影の活動はされますか?

 

モービルはずっと続けていきたいと思っています。下の世代でやりたいライダーがいれば一緒に行きたいですし、まだまだ撮影は続けたいですね。

 

 

 

■一生飛び続けたいと思ってます。その中で一番大切なことは “楽しく滑る”こと

 

-現在42歳ですが、これからはどんなスノーボーダーを目指すなどイメージはありますか?

 

実は今、今年の11月下旬から中国オリンピック強化委員会からのオファーで、強化プロジェクトのスノーボードスロープスタイルとビッグエアーでヘッドコーチやらせていただいているんです。
冬季北京に向けたプロジェクトです。ここではスノーボード以外の種目をやっていたアスリートの子たちを集めて育成をしていて、
つまり雪上での滑走日数が100日もいっていないような子たちなんですけど、その集まった子の中にはすでにダブルコークをメイクする子が出てきたりしていて…。
今の若手の成長をまざまざと見せつけられている感じです。ですからもう自分の中ではトリックの進化にはついていけないかなと。でも今後も撮影で飛ぶことは常に意識していますし、一生飛び続けたいと思っています。
その中で一番大切なことは “楽しく滑る” ということですかね。

 

 

-今シーズンはどんな活動を予定していますか?

中国でのコーチングがひと段落したら、1月からは岩手・夏油や、新潟・神立、新潟・アライでのパークプロデュースが本格的に始まります。
豪雪地帯のアライと夏油では、ハイシーズンはパウダーを楽しむ人が多いので、そういった人たちが遊べるようなバンクとジャンプラインをミックスさせたパークを考えています。
逆に神立はフリースタイルパークに特化したいと思っていて、8mくらいのミドルレンジの3連キッカーをテンポ良くレイアウトする予定です。
今シーズンはパークのコースが広がったので、そのスペースをどう使えるかも今後楽しみですね。
そういったパークプロデュースをしながら、時間の許す限り撮影現場にも行き、モービルで新たな斜面を開拓することを続けて撮影をしていきたいと考えています。

 

■快適なスノーボーディングには、防水性と透湿性の高いGORE-TEXは欠かせない

 

-最後にQUIKSILVERのウェアについても聞かせてもらえますか。BOONDOCKINGの撮影で着ていた赤いウェアはかなり印象的でしたね?

 

個人的にはダーク系のカラーが好きなんですけど、撮影では赤いジャケットを着ていました。やっぱり雪山での撮影には明るいカラーの方が目立ちますから。
パンツはビブパンツを履いていましたが、どちらもHIGHLINE PROシリーズでGORE-TEXの素材です。
正直バックカントリーで撮影するようになって、もうウェアはGORE-TEXじゃないとダメですね。ハードな撮影では汗をかきますし、豪雪地帯で水分がウェアに浸みてしまうと寒くなってしまいますから。
快適なスノーボーディングには、防水性と透湿性の高いGORE-TEXは欠かせません。僕は身長168センチですが、上下ともにMサイズでピッタリです。
ビブパンツもルーズフィットなので動きやすかったです。

 

(プロフィール)

石川敦士 Atsushi Ishikawa

1977年生まれ。埼玉県出身。数々の怪我を乗り越え、常に進化し続けてきた日本が誇るスノーボーダー。
数々のビッグコンテストでの活躍や、一世を風靡したムービープロダクションSCLOVERなど、常にフリースタイルシーンを牽引してきた実績を持つ。
近年はスノーモービルを使って日本のフィールドを開拓する傍ら、新潟・神立、岩手・夏油、今シーズンより新潟・アライでもパークプロデュースの指揮を執る。
また今年の11月下旬に中国代表チームのヘッドコーチに抜擢。

 

今シーズンのQUIKSILVERスノープロダクトは、ハイクオリティーな素材のみを使用したトップアスリートのためのプロモデルであるHIGHLINE PROシリーズを始め、ブランド誕生50周年を記念し、80年代当時のアートとボードカルチャーが融合した象徴的なデザインをリバイバルした限定コレクションを発表。
来たるウインターシーズンに向け、スノーライフに欠かせないアイテムをぜひお探しください。


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