クイックシルバーとのつながりが深い4人が統一キーワードをもとにリレー形式で語っていく本コンテンツ。第1回目のテーマは「波乗りジャパン」。ファーストランナーは波乗りジャパンのアンバサダー、大野修聖。
Q 2年後に迫った2020年、そして波乗りジャパンについてどう感じていますか?
サーフィンが世の中に出る最高のタイミングであると同時に、自分のサーフィンのルーツや文化を見直すいい機会になっていると思っています。なぜ自分はサーフィンをしたのか? それはコンペティションをするためではなく、波に乗ること自体が目的です。いままで何十年もコンペティターとして活動してきたけど、まずは自分が波に乗るのが好きだからやっている、そんなシンプルな点を振り返れたと感じています。
Q なぜそう感じるようになったのですか?
2020年の競技種目に選ばれてサーファー=アスリートと呼ばれるようになったことが、ルーツを探るきっかけというか。これからは、サーフィンがいままで以上に自然と都会をつなぐツールになると思うんですよね。もちろん、コンペティションという枠組みもあるけれど、もっと大きなライフスタイルというフレーム。ずっとアスリートとしてやってきているからか、最近それを強く感じます。
Q サーファーではない人に、どんな刺激を与えたいと感じますか?
たとえばラインの取り方だとか、それぞれのサーファーが持つスタイルによって、情緒的な刺激が与えられたら嬉しいですね。「よーい・ドン! はいゴールしました。何秒でした」という100メートル走同様、「はい1.5ptね、はい9.5ptね」と数字だけ見るのではなく、「あの人のサーフィン、なんかいいよね。なんか感じるものがあるよね」というように見えてくれたら良い気がします。
Q コンペティションの魅力を教えてください。
勝ち負けももちろんですが、自分をより深く知っていけるところ。メンタルがこういうときは、こういう自分になるのかという発見がある。感情的なものが出てきて、「こんな自分もいたんだ」、「こんな面もあるんだ」といった、知らない自分に出会える点が魅力ですね。
Q 2018年の活動予定を教えてください。
今シーズンはインドネシアでの大会が結構あるので、その大会を軸にインドネシア滞在に時間を割きながら、海外を回ろうと思っています。あとは、一昨年から主宰しているFUN the Mental(ファンダメンタル)というイベントを続けていきたい。これは、昔の歴代のサーフボードから最新モデルまでを全部集めて、大人も子供もみんなで乗りましょうというもの。いろんなデザインのボードや、ボードすら使わず体だけで波に乗ることで、新しいパワーゾーンやラインなど、全然違うものが見えてきます。それをシェアしたい。
Microや他のプロサーファー、音楽家、シェイパーなど、できるだけ違うジャンルのプロフェッショナルに集まってもらって、子どもたちがセッションしながら「こんなプロになりたい、こんな大人になりたい」といった、インスピレーションをかきたててもらうこともコンセプト。2020年に向けて、よりコンペティションに偏向していくなかで、「海にはもっと深いことがあるよね」ということも伝えられたらいいなと思っています。
【プロフィール】
大野修聖
Masatoshi “Mar” Ohno
1981年生まれ。静岡県出身。クイックシルバーサーフライダー。ホームブレイクは伊豆・多々戸。15歳のとき、当時の最年少記録でプロテストに合格。2004年、2005年と2年連続でJPSAグランドチャンピオンに輝くと、照準を世界にスイッチ。オーストラリアやハワイ、カリフォルニアなどに拠点を移しながらWQSを転戦した。日本人最高位を含む数々の戦績を重ねたのちの2013年、JPSAにカムバック。6戦中5戦を優勝、残る1戦も準優勝という前人未到の記録で3度目の頂点を極めた。また、早期から波乗りジャパンのアンバサダーとして貢献。シンボルライダーとして日本代表キャプテンの任も務める。